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にいる長男、三男よりも行き届いているのです。
小学五年生になると、家から通いたいと言い出しました。幸い家は駅前だったので汽車通学に賛成し通学できるように応援しました。
毎日、先生との連絡帳を頼りに、頑張り無事に通学できました。
中学三年生の終わりごろ、「ぼく、耳が欲しい」と二、三度言われました。私も悩み、「お母さんの耳を片方あげるから手術してみようか」と答えるしかありません。「お母さんの耳が片方になるから、ぼくなくても頑張ってみる。我慢する」と言われたときは、涙が止まりませんでした。
先生や友たちには励まされ見守られて、青森まで自転車で旅行するなど、いろいろな体験をしました。そして多くの表彰状も頂きました。また、生徒会活動もして中学、高等部では生徒会長もやらせて頂きました。そのころのことが、社会人になっても大変に役立って、健聴者の仲間がたくさんいる会社で頑張っているようです。
近ごろ、すてきな彼女ができて、自分の力で土地も買い、近々、家も建てて結婚する準備を進めています。十二月の結婚式には、幼稚部から高等部まで教わった先生にできる限り出席して頂き、「お陰さまでこんなに大きくなりました」と感謝の言葉を一言、いいたいと思っております。
これからも健聴者に負けないよう頑張って生きて行くよう、言葉では厳しく心の中は涙ですが、応援して行きたいと思っています。

 

 

 

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